Surfing/ Deep Fantasy ('12) 104P

 

 

このレコードはオーストラリアで録音されたらしい。でも、僕にはこのレコードに収められている音たちがもっと遠くから幾多もの夜を越えてやってきたんじゃないか、そんな気がする。 

 

 SurfingはPenny Van HazelbergとLeroy Naniaという名の二人によるエレクトリック・デュオ。詳細はあまりわからないものの、彼らが感度の良いリスナーから注目を浴びるようになったきっかけは2012年に少数だけ製作したカセットにあるといいます。特に活動を積んできたわけでもなく、ギグも数回しか行ったことがないため、当初は大きな反応が見られなかったにも関わらず、何か引き金が引かれたことによって(彼ら自身にもそれがなにかは分からないようです)いきなり売れ始め、ついに今では当時のカセットが400ドルの値段がつけられるまでになりました。その後ニューヨークのレーベル100% Electronicaから発売されたレコードも瞬く間に完売。その後800枚再プレスされ日本にも少数だけ輸入されているものの、市場から姿を消すのは時間の問題でしょう。

 

 

 ここに収められているサウンドにはどこかチープさがあり、80年代のシンセ・サウンドを彷彿とさせます。しかしその音色の使い方、そしてメロディ・センスは『メトロポリス』のようなジャケットの雰囲気と相まって、僕らに地平線の向こうにある近未来都市で作られたミュージックを聴いているかのような浮遊感を与えてくれます。特に「Dal Boca Vista」から「Moonlight」の流れは、いつ聴いても僕の精神をどこか遠くの宙へと飛ばし、あるいは感情を深く沈めていくのです。書いていてふと思ったのですが、海底で泳ぐのはどんな気持ちなのでしょう?彼らの浮遊感はその答えになっているような気がします。