リベラル a.k.a 岩間俊樹

  

『I.MY.ME』

 

 

 

 

4月12日に“人間劇場 Vol.0"を開催することを決めたリベラルさんに

『I.MY.ME』という作品がどのようにしてパッケージされたのか

そして作品、ヒップ・ホップに対する思いについて

渋谷の#802 CAFE&DINERで語っていただいた。

 

 

 

 By Pithecan Thropus.

(Kaoru_maki & Komu)

 

 

「いま自分にしか作れないアルバムってなんだろう」と考えたとき

 

 

ーこれまでのリベラルさんの作品(『IWAMA TOSHIKI』と『JUST A STONE』)では、ほとんどの曲のトラックが打ち込みやサンプリングでした。それに対して今回の『I.MY.ME.』では「遠距離」以外の曲のトラックが全て生音で録られています。「Last Night」と「go on feat. MEEKAE」の2曲では事前にビートメイカーのhokutoさんが作ったトラックをプレイヤーが弾き直して録音していたりと、岩間さんの生音に対するこだわりが感じられますが、そのあたりはなにか意識の変化などがあったのでしょうか。「生音」は近年USのヒップ・ホップ・シーンで注目を集めていますよね。

 

 

「『IWAMA TOSHIKI』と『JUST A SOTONE』では生音でやってるサナバ(SANABAGUN.)とのメリハリをつけるためにほぼ打ち込みのトラックでやったんだけんだけど、今回のアルバムは超豪華なサウンドにしたいと思ったからあえて生音にした。それに今回は絶対に売れたかったし、評価も欲しかったから、様々な人が聴けるように昼間でも聴けるようなポジティヴさを前に出したかったんだよね。まぁ、自分自身のスタイルは今までとおなじで、一貫して曲がってないんだけど。

 生音についてもう少し話すと、確かに海外では生音が注目されていて、kendrick lammarとかChance The Rapperとか、生音でやってグラミー賞にノミネートされるようなラッパーたちがたくさんいるよね。それなのに日本ではまだ生音でやるってことがあまり注目されてなくて、生音よりもフリースタイルだとか、トラックでは4つ打ちとかEDM寄りのものが流行ってる。そういう状況のなかで「じゃあ、いま自分にしか作れないアルバムってなんだろう」と考えたときに「けっきょく俺が日本で一番ヒップホップと生音の間を行き来しているラッパーだな」と思ったんだよね。だからほとんどのトラックを生音にしてみた。」

 

 

ー『IWAMA TOSHIKI』や『JUST A STONE』はハードなヒップ・ホップですよね。夜中にヒップ・ホップ好きが一人きりの部屋で聴く雰囲気だなと思いました。それに比べると『I.MY.ME.』は普段あまりヒップ・ホップを聴かないような人々を受け入れる広さがあると思います。

 サナバの楽曲はジャズのインプロヴィゼーションが主体でそこにヒップホップの要素を乗せて曲にしているイメージが感じがあったんですけど、お話を聞いているとリベラルさんの場合はその逆なんですね。ヒップ・ホップが主体で、そこに他の要素を加えていく。だからなのか同じ生音でもサナバっぽさを感じることがありませんでした。

 

 

 「ありがとう。だけど、録音したメンバーのなかでドラムの(澤村)一平と、サックスの(谷本)大河と、ギターの(隈垣)元佐はサナバのメンバーだから、どうしてもサナバっぽくなっちゃう部分もあって…だから差別化をするために、今回はサナバのグルーヴ主体のバンド・サウンドだけじゃなくて、生音をあえてトラックっぽくした曲が多い。例えば、エンジニアさんにも録る時点で「環境とかグルーヴ感とかは重視してないんで。無機質にとりたいから」って話して、それでマイクとかスタジオもそういうふうに録れるものや場所をチョイスしていったんだよね。あと楽器の録音に関しても例えばドラムのスネアだけ単発で叩いてそれを切り貼りしたりとか。曲によってはみんなで「せぇーの」で一緒に演奏するんだけど、ヘッドフォンに他の楽器の音とかが入ってるとどうしてもそれに寄ってグルーヴを作ろうとするから、それをさせないようにヘッドフォンからはBPMのクリックと自分の演奏しか聞こえてこないようにして、それを聞きながらひたすら演奏するとか(笑)。」

 

 

ーなるほど、生音をトラックとして捉えるというのはラッパーとして音楽を聴いている岩間さんならではですね。確かに今回のサウンドには随所でカチッとした芯のようなものを感じることがあります。その“カチッ”とした部分がトラック的だったということかもしれませんね。

 

 

「そうだね。打ち込みで作るようなトラックをわざわざ生音でやるっていうのは日本人ではまだいなかったから、それがやりたくて。それが『I.MY.ME.』の曲作りのコンセプト。」

 

 

良いトラックは聞いた瞬間にリリックが書きたくなるし

各々の頭の中に景色とか聴きたいシチュエーションが浮かぶ

 

 

ー今回はサナバの方々意外にも、ジャズ・シーンで活躍する方々がレギュラー・バンドとして参加なさっていますね(Bass:山本連さん、KeyBoard:永吉俊雄さん、Sax etc:萩原優さん)。ゲストも前回の『IWAMA TOSHIKI』に参加していたNao Kawamuraさんに加えiriさん、Shuns'ke Gさん、NEEKAEさん、大林亮三(RYOZO BAND)さん、Markun(Aun beatz)さんと多彩です。

 

 

 「もともと、このアルバムは俺と一平と大河の3人で作ろうとしてたんだけど、一平が「他にも楽器の上手いやつ呼ぼうぜ」って言い出して。それであいつのブッキングでジャズの若手の中ではトップレベルのメンツが集まった。俺的にはものすごく人選がうまく行ったと思ってる。」

 

 

ー『I.MY.ME』のサウンドは主役のリベラルさんが前面に出てまとめながらも、それを支える仲間のセンスも遺憾無く光っているというように感じます。いまの“リベラル a.k.a. 岩間俊樹”が全力でキャンバスに描いたデッサンを、演奏陣やゲストが良い色合いの画材で色付けしたようです。

 

 

 「俺は音楽理論を知らないことがコンプレックスだったのね。だから、サナバではあまり音楽のことは意見したことがない。だけど、今回は自分のアルバムだし、オール・プロデュースするって決めてたし、それにコンプレックスを打破するためにも、演奏のディレクションにも普段言わないようなことを色々と言って好きなようにやった。俺がつねに思ってる「良いトラックは聞いた瞬間にリリックが書きたくなるし、各々の頭の中に景色とか聴きたいシチュエーションが浮かぶから」っていうことを皆に伝えたうえで、例えば「この曲の景色はこんな感じ」って言って弾いてもらったり。USの参考にしたい音源を聴かせて楽器陣にそれをもとに弾いてもらったり。それで弾いてもらったものが自分が思っていた風景と違えば「あ、それ違う」って俺が鼻歌で歌ったリフを弾かせたり(笑)。楽器陣にこれだけ色々と言ったのは初めて。今回の『I.MY.ME』に関しては「俺が前に出ることが、楽器陣の得することだから。」と思ったしね。

 特に「I.MY.ME ~Outro~」は初めて自分でピアノを弾いて作った曲で。俺は楽器が全くできなくて、鍵盤を前に出されて「ドの音を出して」って言われてもどの鍵盤がその音、そもそもどれがその音なのかがわからないんだけど…。でも「ちょっと鍵盤貸せ」って言って(笑)ずっと鍵盤を弾いてリフを作った。だからタイトルも「“I.MY.ME”〜Outro~」。自分の性格の出た曲だとも思う。

 

 

ー景色やシュチュエーションが浮かぶというのは音楽では重要なことですよね。そういうアルバムって時代や時間軸に関係なく僕らの耳に入ってくると思うんですよ。だからSomewhere Recordsもそういう観点からアルバムをセレクトするように努めています。『I.MY.ME』はジャケットも印象的ですよね。リベラルさんの言う「景色」が見えてくるものだと思います。

 

 

 「そうそう。これはPIGMOちゃん(MIZUKI PIGMO)が描いてくれたんだよね。ピグモちゃんはサナバのイベントで知り合ったんだけど、ふとインスタを見たらめっちゃかっこいいイラスト描いてて。それでソロを出すときは絶対にジャケットをこのひとに描いてもらおうと思ってた。で、今回ソロが決まったときにたまたま渋谷で個展をやってたからお願いしに行ったら「いいですよ、任せてくださいよ」って言ってくれて。その後にプリプロ(資料)を渡して、俺からは「ジャケは顔にしてほしい」ってことだけを伝えて、あとの色とかは全部むこうに任せて描いてもらった。あと彼女、実際に会うとものすごく色気があるんだよね(笑)」

 

 

ーPIGMOさんのイラストめちゃくちゃいいですよね。僕もinstagramのアカウントをフォローしてます。

 

 

リリックは自分が肌で感じたことしか書けないと思う

 

 

ー今回のリリックは赤裸々な内容でリアルを感じました。それこそリベラルさんが見てきた景色がそのまま投影されるような感覚を覚えます。特に「遠距離」に関しては「こんなこと書いちゃって大丈夫なのかな?」と思うような内容が書かれていて…

 

 

「あー、「遠距離」はそうだよね(笑) リリックに関しては、いまの日本の音楽シーンって「ゆるく生きていくのもいいじゃん」っていう野心の無さとか、異彩を放ったりとキャラが立ってないと評価されない状況とか、そういう現実逃避感がすごくあると思う。しかも、正直な意見を表に出さずに「良いよね、良いよね」って互いに同調しあうからオリジナリティが失われてる。その結果メディアの右向け向けって振り回されてるよね。それが現状じゃないかな。確かに自分を信じることってつねに力を使うし、能力が必要だし。自分を信じて何かを成し遂げるって本当に難しいことだと思う。だけど、今はそれから逃げちゃってる人が多すぎるから…。人間味のあるリアルさとか粋さを出すのがヒップホップだぜって思うし、それをかっこいいと思えるのが美学だとも思う。それは「それジャズだよね」とか「それロックンロールだよね」っていう具合にどんなことに対しても言えることなんよね。言葉は違っても、そこの奥にある意味は同じ。」

 

 

 

 

ーリベラルさんのいうとおり、自分を信じることは大切ですよね。創作って自分の外に向かってではなく自分の内に向かって行わないと、他人になにかしらの影響を与えるようなものはできないと思うんですよ。

 

 

 「それにリリックは自分が肌で感じたことしか書けないと思う。それは自分の中にある「ラッパーはこうあるべき」っていうラッパー像にも繋がるんだよね。俺のラッパー像っていうのは、いつも隣にいい女を連れて歩かないといけない、自分の音楽を聴く人に夢を見させないといけない、あとはリアルをリリックにしないといけない、ていうのなんだけど。でかいこと言ってるだけで実際には何もできてないっていうのは嫌だし、そういう奴が世間とか大人から評価されているのも嫌じゃん。だから、今回「Shout Out 4 My Sponsors(ハイ・渓濱商事・アンプラザ)」のリリックを書くときには実際に企業の営業に同行させてもらったりもした。」

 

 

ー営業に同行させてもらったんですか、もはやジャーナリストの領域ですね。リベラルさんのリアルはラッパーとしてのリアルだけではなくて、アルバムを聴く人たちのリアルをも考えているように思えます。表面的な部分のリアルではなくて、より深い部分のものだなと思いました。

 

 

   「自分自身はラッパーとして人に夢を見させないといけないし、つねにラッパーとしてステップ・アップをしていかないといけない。それにやっとヒップホップで食べていけるかなというところまできた。でも、俺のCDを買ってくれる人っていうのは同業者よりも音楽以外を仕事にしている人たちなわけじゃん。そういう人たちに共感してもらうためには、自分がアーティストであることと同じように、一個人の社会人としての自分もいないといけないと思う。俺のことを聴いてくれるリスナーとはつねに近い距離にいたいしね。あと

  “俺のヒップ・ホップを自分に置き換えて聴いてみてほしい”っていう思いがあるんだよね。

 俺が音楽で悔しい思いしていることと、普通の人たちが会社で上司に理不尽なこと言われて悔しいと思うことは、かたちは違うとしても同じことだし、その不満を晴らすために週末に酒を飲むのとかも一緒じゃん。だから、そういった面をリンクさせて自分にはめ込んで聴いてほしい。「お前らだけじゃないから」っていう代弁者でありたいなってつねに思う。「私たちこう思ってるんだけど、リベラル曲にしてよ」っていうのが本気であるんだったら問いかけてほしい。」

 

 

ーそれぞれリアルのかたちは違えど、その根底には共通性がありますよね。リベラルさんのように「お前が本気で思ってることを歌ってやるよ」という存在がいることは、普段の生活のなかで表現することが難しい、生産者になることが難しい人々にとっては大きな励みになりますよね。なにかしらのかたちで実現してほしいと思います。(もしそういう希望がある方は、ぜひSNSを通じてメッセージを送ってほしいそうです。インタビューの最後にリベラルさんの各SNSアカウントへのリンクを貼っておきます)  

 

頭に生ダコを乗せる

 

 

リアルさは逆に「ネジ」とか「Tamanegi feat. iri」とかはかなりシュールな世界観を持つリリックですよね。その辺りが…

 

 

「どうやって出てきたのー!って?」

 

 

ーそうです(笑)

 

 

 「ランニングしてる時にリリックの乗ってないデモを聴いてたらいきなり「えーっ、このー、ネジー、ナニー」っていう歌詞が頭のなか流れてきて。で、その後それに合わせたトピックを考えた時に思いついたのが「家で大掃除してる時に「これどっから出てきたんだろう!?」ていうネジが落ちてるんだけど、結局どこのやつなのかかが分からずに捨てちゃう」っていう“あるある”で(笑)。そのあるあると頭のネジをかけてる。結局見つからないんだからそのネジは自分の頭のネジだったっていう(笑)」

 

 

ーだからPVも掃除してるところから始まるんですね(笑)

 

 

 「そうそう。PVに関しては「頭のネジが外れてるんだから変なことしなきゃダメだよ」ていうことで、はじめは生きた生ダコを乗せることになってたんだけど、「それはさすがに嫌だわ〜」てなって(笑) けっきょくPVを撮ったブッダ周りが「シーズンものはみんなが観てくれるから、クリスマスに合わせようぜ」って。それで赤い全身タイツになった(笑)」 

 

 

 

 

ーそういったユニークなひらめきの連続でできた曲なんですね(笑) 「Tamanegi feat. iri」に関しては?

 

 

 「「Tamanegi feat. iri」の世界観は、“お母さんといっしょ”の歌のなかに食いしん坊のお化けの歌があって、その歌詞のなかで玉ねぎを剥くんだけど中身が出てこないっていう箇所があるんだよね。その歌詞と、毎週月曜から金曜まで仕事だけして「もう何やってんだろう私」って思いつつも、その景色の変わんない日常を繰り返して、けっきょく最後は死んでなにもなくなっちゃうっていう一生をかけて。一生ループするだけの人生じゃつまらないよっていうのを書いている。あとこの曲に関しては、イントロでiriちゃんに本気で「オニオン」って言ってもらってるんだけど、iriちゃんはいま注目されてるミュージシャンだし、それにマネージャーの目もあったのね…だけど、そういう状況のなかでも俺のアルバムだっていうことを貫き通して「オニオン!」って言ってもらえた。録ったときに思わずガッツポーズしたね(笑)」

 

 

ーそういう状況だったんですね(笑)「ネジ」も「Tamanegi feat. iri」も、そういったエピソードを踏まえて聴くと新たな面白さが見つかりそうです。

 

 

 

ラッパーがビジネス

 

 

「Shout Out 4 My Sponsors(ハイ渓濱商事アンプラザ)」はビジネスとリンクした曲ですよね。8小節のリリックのなかで企業の宣伝を歌うことによって融資を得る“My Sponsors Project”は斬新で新しいなと思いました。

 

 

「そうだね、それも日本では初めてのことだと思う。ビジネスに関してはまず所属がVictorなのにP−VINEから出す時点で異例で。やっぱり、KGDR(キングギドラ)とか俺の好きな日本語ラップはPーVINEから出てるものが多いし、それにP-VINEからラッパーとして一枚アルバムを出すってことはラッパーとしての箔がつくことだと思うから。だから今回は自分でP−VINEに営業に行って、そのあとにVictorにも「PーVINEから出すんで」っていうことでその許可をもらった。でも、それでいざアルバムを作るってなった時に「自分の呼びたいエンジニアさんとかバンド・メンバーとかを呼ぶためのお金どうすんの」ってことになって。レーベルを通さずに集めるにはどうすれば良いんだろうって大河とか一平と考えた時に「やっぱ企業だよね」ってことになって。そこで前からイメージとしてあった「8小節の枠をお金で買ってもらう」というのが出てきた。クラウドファンディングとか個人から集める方法もあったけど、仮にそれをやったとしてもサナバのメンバーがそういうのやってるなんてイメージと違うじゃん。それに、これが自分にしかできないアルバムの作り方だと思った。」

 

 

ーそのインスピレーションってどこから得たんですか?

 

 

「ラッパーが自分でビジネスとか自分で動かすお金のことを考えてるっていうのは海外ではよくあることなんだよね。だから、今回はその海外のラッパーのビジネスを意識したくて。だから俺はアルバム作るときも「俺はジャパニーズ・JAY-Zだ」ってずっと思ってやってた(笑)でも、このシステム自体は海外でもあまりやってないと思う」

 

 

ービジネスじゃない、俺がビジネスだ(笑)(詳しくはこちら

 

 

法人にはしなかったけど、まえに運送業を起業したこともあるように、俺はもとからビジネスっぽいことが好きなんだよね。だからビジネスっていう観点から自分をプロデュースする、つまりは自分が看板になってやるビジネスっていうのを考えた時にどういうのがあるかなってつねに考えて行動してる。

 あとビジネスとして「いつか社長になりたい」っていうのがあるんだよね。それには一つ一つ理由があるんだけど、まず一つは金持ちになりたい。あと「社長」って呼ばれたいっていうの。それに将来的には居酒屋をやりたい。俺は酒が好きだし、それに毎回俺が店に綺麗な女の娘と行って、店員同士が「おい、オーナーきたぞ!新人お前接客やってこい。絶対にお小遣いもらえるから」ってなって、それで新人が俺のところに来たら俺が「おい新入り、お前ちゃんとやってるのか?…しょうがねぇなぁ、これで女とデートでもしろよ」つって2万円くらバーンって出すみたいなのをやりたいっていう(笑)」

 

 

ーははは笑 それは男の夢ですね(笑)

 

 

「それを他の人に話すと「お前は本当にバカだなぁ!(笑)」って言われちゃうんだけど(笑)」

 

 

ーリベラルさんのビジネス、そして今回の“My Sponsors Project”は目の先だけではなく、かなり先の未来までもを見据えますよね。日本の音楽シーンってアマチュアに対して厳しい環境じゃないですか。ライヴひとつをとってもライヴ・ハウスからチケット・ノルマを課せられて、それをクリアしないと何千から何万までお金を払わされたりとか。だけど“My Sponsors Project”が上手く機能すれば、才能を広める新しいかたちが生まれると思うんです。企業は誰にでもというわけではなく、才能を見出さないと資金は出してくれないと思いますしね。

 

 

俺だからこその「新しさ」

 

 

 2人の間では全体的に「音が暖かいな」っていう話をしていたんですけど。やはりそれはリベラルさんのオール・プロデュースの結果なのでしょうか。

 

 

 「それもあるかもね。でも、それは今回のエンジニアさん(福田 聡さん)がサナバの『黒盤(Son of  a Gun)』の頃から一緒にやってて俺のことをよく知ってる人だったから、「リベちゃんはこう言う感じが好きだよね?」ってやってくれたし、俺もスポンサーを集めてきたこととか、風景が見えるものを作りたいって言うことを全部その人に話すことができて。それでエンジニアさんが俺のそういう気持ちとか経験、それに俺の人間臭さを全部拾ったうえで、単純にいい音にするんじゃなくて“その人のアルバムに仕上げる”っていう感じでリミックスしてくれたからだとも思う。エンジニアさんが俺の思っていることをそこまで理解してくれた。」

 

 

ーエンジニアさんや演者さん、『I.MY.ME』に関わっている全ての方々が、それぞれが持つ自分の個性を出しつつも、リベラルさんの良さを引き立たせるために表現していると思います。それが善い作用をもたらしていてアルバムの随所で現れているな、とインタビューしていて強く感じました。

 

 

 「まず、今回のアルバムをつくるにあたってエンジニアさんたち、演奏してくれたメンバー、ジャケットを描いてくれたPIGMOちゃん。携わってくれた人たち全員が、俺の気持ちを拾ってくれる人だ、ということで選ばれてるから。それに、2人の言うとおり選ばれた人たちがその人なりに俺を分析して、俺がアルバムでやりたいと思っていることを汲み取って自分の表現をしてくれたとも思う。類は友を呼ぶじゃなけど、本当に皆が温かい人たちで、このアルバムを作るためには最高のメンバーが集まって…それで良い感じにマッチして。結果としてそれぞれがお金以上の達成感を得たんじゃないかな。そういったものすべて含まれてるからこそ、現段階で作ったアルバムとしてはこれ以上にはないすごく良い出来だと思ってる。」

 

 

ー胴上げみたいですね。もし神輿だとしたら、リベラルさんは担がれて上で座ってる状態だと思うんですけど、胴上げだとリベラルさんも体張ってるというか…。

 

 

 「それはすげーいい表現の仕方だね。そういうのも全部含めて俺にしかできないことだと思うよ」

 

 

ー最後になりますが『アイマイミー』は確実にクラシックになるアルバムだと思います。

 

 

 「そうだよね。自分で言うのもおかしいけど…もうちょっとね…評価してほしかったっていうのがあって。時代に反したものを作ることがここまで受け入れられないのかって悲し過ぎて。でも、90年代のジャパニーズヒップホップを知ってる世代の人たちは「懐かしい感じがする」て言ってくれるし、逆に若い人たちのなかにも“良い”と感じて反応してくれる人もいる。古風なジャパニーズ・ヒップ・ホップが好きだからこそ、その辺りの日本語ラップのダサさとかも出せたし、それと同時に自分でビジネスをやったり、サウンドも生音をトラックにしたりと俺だからこその「新しさ」も一緒に出せたアルバムだと思う。

 俺は不器用だし、それに特別に秀でた才能を持ってない。でもそういうやつでもこういうことを成し遂げられるんだぜっていうのを一つ提示できたんじゃないかな。」

 

 

ー今回の『I.MY.ME』はリベラルさんが生まれ青春を過ごした青森、そしてラッパーとしての道を決心し東京で見てきた景色、聴いてきた音楽、求め続けたスタイル。そして、それら吸収するなかで出会った人々。そういったもの全てをラッパーとしてパッケージしたものと言えるのでしょうか。そして、今回のインタビューを通してリベラルさんはつねに先のヴィジョンを見据えているようにも感じました。点ではなく、線で未来を想像しているような感じです。もしかすると『I.MY.ME.』という作品を発表した時点で、リベラルさんは既にそこから少し離れた場所でつぎの「未来のために自分がするべきこと」を行動にうつしているのではないでしょうか。最後に4月12日に開催される“人間劇場 Vol.0"について、ぜひ教えてください。

 

 「そうそう。一つの区切りとして4月12日に横浜THUMBS UPで『I.MY.ME』のリリース・パーティー“人間劇場 Vol, 0"を開催をすることにしたんだよね。アルバムで演奏してくれた楽器陣はもちろんのこと、1月にEP『CUE』をリリースして話題になってるNao Kawamura、それにShuns'ke GやMEEKAEといった『I.MY.ME』に参加してくれたゲストも何人か集まってくれる予定。『I.MY.ME』や俺の楽曲だけじゃなくて、彼らの曲もがっつりやってもらって、皆で一つのショーを作るつもりなんで是非!あと、イベント名が"Vol, 0"になってるんだけど、今後も面白いこと色々と企んでるんで期待してもらっていいかな。」

 

ー皆で一つのショーを作るってところに岩間さんの人柄が出ていますね…とても楽しみです。僕らも絶対に駆けつけますし、色々な人が集まって素敵なイベントになることでしょう。今回は長時間のインタビューありがとうございました。また“人間劇場 Vol, 0"でお会いしましょう。

 

 

 

リベラル a.k.a 岩間俊樹

1990年11月24日生まれ。青森出身。

就職をするもヒップホップへの夢を諦めきれず上京。

2009年から都内でラッパー・リベラルとして活動。

2013年にはSANABAGUN.を結成、路上ライブが話題となり2015年にメジャーデビュー。

ソロとしてもこれまでに

IWAMA TOSHIKI』『I.MY.ME』『JUST A STONE』(配信)

を発表している

「生涯とは最高のフリースタイル、人事を尽くし天命をくつがえす。」

 

Twitter

instagram

現在world Famous Pirate Radioにて「“大河”と“リベラル”の酔いどレディオ」放送中

 


リベラル/I.MY.ME

 Release Party

 

“人間劇場 Vol. 0"

 

開催決定!

 

 

 

リベラル『I.MY.ME』のリリース・パーティー“人間劇場 Vol, 0"の開催が決定しました。

インタビューの中でリベラルさん本人から語られているように、豪華な出演者が決定しておりますので、

チケットのご予約はお早めに!

下記にて受け付けております。

 

“次世代のBlack Musicシーンを堪能する夜!!”

SANABAGUN.のフロントマン、リベラル a.k.a 岩間俊樹がバック・バンドに若手No.1ミュージシャンたちを従えて贈る最強のライヴイベント!!!! ゲストにSuchmos,SANABAGUN.やWONKなどのコーラスに抜擢され、1月にリリースした初の全国流通盤EP『Cue』が各方面から話題を集めているNao Kawamura、ソウル・シンガーとして活躍するShuns'ke G、『I.MY.ME』にも参加しているラッパー、トラック・メイカーのNEEKAEらが出演予定!

 

リベラル/I.MY.ME Release Party

“人間劇場 Vol.0"

4月12日(水) @ Yokohama THUMBS UP

Open:19:00 / Start 20:00

前売:¥3000

当日:¥3500

チケットご予約はこちら

 

出演者

リベラル a.k.a 岩間俊樹

 

Special BAND

隈垣元佐 (Gt)

沢村一平 (Dr)

谷本大河 (Sax)

山本連 (Ba)

永吉俊雄 (Key)

萩原優 (Sax,Flute)

 

Guest

Nao Kawamura

Shuns'ke G

NEEKAE

and more...

 


リベラル/ I.MY.ME

PCD-24573(P-VINE)  ¥2,400 + TAX

 

Track List

1.参上 ~Intro~ feat. Nao Kawamura

2.ゆとり

3.ネジ

4.Blow Time Away feat. Shuns'ke G

5.遠距離

6.Sake

7.ここまで…

8.Shout Out 4 My Sponsors(ハイ・渓濱商事・アンプラザ)

9.夢の最中

10.Last Night

11.Tamanegi feat. iri

12.go on feat. MEEKAE

13.シンパ feat. Nao Kawamura

14.I.MY.ME ~Outro~

15.夢の最中 (Crane 11 remix)

 

Shop

TOWER RECORDS

HMV

amazon


今回取材で使わせていただいたお店

 

#802 CAFE&DINER at Shibuya

 

 渋谷駅から5分、文化村通りヤマダ電気正面にあるビルの8階をある“#802 CAFE&DINER”は「ワンルーム」をコンセプトとしたお洒落かつ清潔感のある店内で落ち着くことができるカフェ(窓際の席からは文化村通りを眺めることができます)。ヴォリュームのあるメニューとともに若い女の娘やカップルを中心に人気を集めており、予約や貸切パーティー、サプライズなどにも気軽に対応しているそうなので、女の娘やボーイ・フレンドは手帳にメモしておくと良いかもしれませんね。ついでに僕が取材に行った日はラウンジ・ミュージックがG.RINA、Nao Kawamura、Suchmosなどセンスある選曲(『I.MY.ME.』も流しているそうです)でした。あと取材当日、リベラルさんを待つあいだ男2人が一つのソファに隣り合って座っているというカップル・シート状態になってしまい動揺しました。

 

Adress:〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町28-3 クロスアベニュー渋谷 8F

Open From 11:45 a.m to Midnight

 


 

interviewee :LIBERAL a.k.a Toshiki Iwama

Interview, Comprise : Pithecan Thropus.(Kaoru_maki& Komu)

Text:Kaoru_maki

Photo : Komu

 

Special Thanks:

#802 CAFE&DINER

Hitomi Hoshino